2014年05月03日

読書記録2014年5月分

5月初旬からずっと風邪をひいている、、、忙しかったせいかこじらせたかな?未だに黄色い鼻が出る(笑)お陰で本は割と読めました。でも早く元気になりたいです!!


「共喰い」田中慎弥著
芥川賞受賞作。ずっと読んでみたかった作品。田中さんって作家さん、その経歴にもとても興味深いものがあるしね。そして私の好きな長州藩のあった下関を舞台にした作品が多いってのも魅力を感じまして。
まあ、この文庫に収録されている表題作を含む二編も下関が舞台ですが、長州藩士とは至って無関係ですが。
純文学って、今時とっつきにくくて読みにくいっていうイメージが強いんだけど、この作品はとても読みやすかったです。
親のこと大嫌いだけど、どうしても似てしまう辛さ、、、親のこと好きだけど、誰でも嫌だなって部分ってあって、でもやっぱり似てしまうなーっていう辛さは、万人に共通した悩みな気がして。まあ、この父と息子との関係はその極端な例とも言えるかな?
この小説も映画化されていて、主演の菅田将暉くんって結構好きな俳優さんで公開当初観たい衝動に駆られてましたが、小説を読んでやっぱり映像で見るのはちょっと怖いなーって思っちゃった。
この本と一緒に瀬戸内晴美(寂聴)さんの「夏の終わり」を借りたところ、偶然にも巻末にお二人の対談が掲載されてたので、楽しませてもらいました。

「夏の終り」瀬戸内晴美著
昭和30年代に書かれた出家する前の瀬戸内寂聴さんによって書かれた短編集。ですが、最後に収録されている「雉子」以外は登場人物は一緒で短編連作集、、、いや、章区切りされた中編小説という印象。
この表題作が昨年夏に映画化されていて、気になっていたので図書館で借りて読んでみた、と言ったところ。現代的な小説ばかり読んでいると、この頃に書かれた作品は文体も少し難解に感じてしまう。想像力が貧困だからかな??読みなれてないって怖い。集中力を最大限に引き出せない状態ではなかなか読み進めなくなっている。
内容としては奇妙な四角関係を描いているのですが、結局いちばん報われない凉太という若い男性の存在が不憫に思えてならなかったなー。この役を映画では綾野剛さんが演じてるみたいなんで、もし見る機会に恵まれたら、より一層同情してしまいそうだわ。

「 ぼくのメジャースプーン」辻村深月著
良かったぁー。とてもステキでミステリアスでもあるし、残虐で残酷だけれども、小学四年生の純朴ででもとても聡い男の子の視点で描かれた、、、最後まで読み終えてみると、ちいさな恋の物語、だった。
殺生と言う行為のどこからが犯罪として捉えられるのか、とか、私達が人間の勝手な視点で善悪を決めている事柄について、考えさせられることの多い小説でした。
心が壊されて失声症になってしまった女の子、ふみちゃん。PTSD。
どこか自分と重なった。多分私もずっとPTSDに苦しめられているんだと思う。だけど、それがみんなにわかる形では顕れないし、傷を負った出来事は特定される何かひとつではない。それだけに解決も難しい。でもふみちゃんの生きようとする力にも勇気をもらいました。

「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎著
伊坂幸太郎というと、もう何年も前に「重力ピエロ」を読んで、ものすごーく感動して、でもその後に読んだ「グラスホッパー」とか「終末のフール」とか、そこまで好きになれなくて、というか最初に読んだのが「重力ピエロ」だったから、こっちも伊坂幸太郎に求めるハードルが上がってしまったのかも。
日本を代表する人気作家だと思うけど、次々著書を読んでみたい!って思わせる魅力は、私には感じられないってとこ。なんだろうね?フィーリングなんだろうね。
でも久々に読んでみたくなって、伊坂幸太郎の集大成とも言われているこの長編を図書館で借りてみた。究極のエンターテイメント長編だね!でもね、やっぱり私の中ではぐーーっと心を掴まれるものはなかった気がして。凄い構成力だし、時間軸の使い方が絶妙、、、ここまで窮地に陥った主人公がどうなるのかな?最後どうするのかな?と気にはなったけど、アクション映画を見てる感じ。昔観た「イーグルアイ」って洋画を少し思い出したな。
面白くはあったけど、あまり感動はなかったな。辛口でごめんなさい。

「冷たい校舎の時は止まる(上・中・下巻) 」 辻村深月著
3巻にも渡るかなりの長編。これだけの長編になるとやっぱりちょっと読むのに気合いが要りましたが、3巻揃ってキレイに図書館に並んでる姿を見たら、まとめて借りちゃえ衝動に駆られてしまいました。そしてやっぱり借りたら読んでしまうのでした。
この長編がメフィスト賞を獲ったデビュー作というから、その執筆力は凄まじいものがありますよね!
辻村さんの作品は学校を舞台にしたもので、学生が抱える心の闇に焦点を当てた作品が多い気がします。これも正にそれで、確かに学生の頃って今から振り返ると至ってお気楽な身分のようであるけれど、私にとってはその頃の方が多感な時期でもあり、人間関係に悩む事も今よりずっと多かった気がします。今の方がもっと次元の低いことで悩んでいる気もする(笑)
みんな未熟だからみんな悩むし苦しむ。誰しもみんな青春時代と言うのは苦悩に満ちた時間なのかもしれませんね。
でも私にとっては、そのドロドロした感情を剥き出しに描きすぎている嫌いがあって、辻村さんの作品を読むとどこか少し暗い気持ちになる。「ブラック過ぎるよ」って思ってしまう事が多い。特に女の子の持つ女の子に対するドロドロした嫉妬心とかその類が。リアル過ぎるあまり、そういう物を忌み嫌ってしまう傾向にある私には読んでいて堪らなくなることがある。
まあでもこのミステリー。最終巻は本当にゾクゾクしながら深夜に読んでしまったせいで、その日はなかなか眠りに就くことができませんでした。読後感はあまり良くないと思う癖に、また読みたくなる辻村ワールドって中毒性があるのかも!?
そして、もうひとつ。このデビュー作の中心人物の一人が「辻村深月」という女の子なの。それが彼女のペンネームになった。そこが凄く疑問。なぜそうしたのかな?どういう意図があって、今もその名前で物を描き続けてるのか、、、知りたいところ。

「銃」中村文則著
今月は珍しく男性作家の純文学作品を二作も読んだ。芥川賞作家中村文則さんの作品。初めて読みました。
純文学ってどこか掴み所のないものも多くて、読んでも「??」ってなってしまう事も少なくない。けど今月読んだものは、「共喰い」と言い、この作品と言い、なかなか私の心にぐっときた。普通に面白い!って思わせてくれる純文学。私の中では、エンターテイメント性も兼ね備えた純文学として位置付けられるなー。
「銃」を手にした青年の葛藤と欲望を描いた作品(?)でした。あまりにも非日常の設定でありながら、この青年の心情は無理なく共感できちゃうところもあって、ドキドキしました。

「そこのみにて光輝く」佐藤泰志著
41歳と言う若さで自ら命をたった不遇の作家として知られる佐藤泰志さんの作品。今も公開している劇場はまだあるのかな?少し前に綾野剛さん主演の映画が公開されて、凄く見たくなって何とか子供達の保育時間中に見に行こうと考えていたものの、体調を崩したり、幼稚園行事の忙しい時期と重なり結局叶わず、とある日曜日、一念発起して一人有楽町まで言ったものの、何と満席で入れずにそのままトンボ帰りしてきた苦い経験もし、最終的には原作を先に読むことになりました。まあ、考えてみれば「読んでから見る」方が好きな私には良かったのかも知れません。DVD化したらきっと見ます!!
前置きが長くなりましたが、佐藤さんの作品はここ数年、没後20年ほどを経て再注目され、再び文庫化や映画化が相次いでいるらしい。私も初めて読んだけど、希望のないような人達を描きながらもそこには一筋の光が存在していて、決して彼らは不幸ではない、微妙なバランスで描いているところが凄いと思った。特にこの作品で言えば、拓児という青年が堪らなく愛おしい存在として描かれている。どうしようもないバカで向こう見ずなんだけど、家族みんなに愛されているからこその、底なしの素直さ。その真っ直ぐな人柄が、私には光り輝いて映りました。映画では菅田将暉さんが演じてるらしく、ピッタリ!!と思ってしまった。
これもやっぱり男性が描く純文学でした。今月は意図せずに純文学に触れる機会が多かったな。なかなか純文学もいいなぁーと思えるようになってきた(笑)


posted by ひかる at 19:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする