2014年08月08日

読書記録 2014年8月分

「悪人」(上・下巻) 吉田修一著
「横道世之介」が面白かったので、吉田修一もまた色々読んでみようとおもい、図書館で文庫で上下揃ってたので借りました。数年前に映画にもなっていて、映画の方も色々と話題になっていた筈。見てはいないのだけど。
いやしかし、面白かった!上巻後半辺りから面白すぎて止まらなくなりました。
こういう殺人事件を扱ったミステリーみたいなのを読む度、殺人犯にもそれまで生きてきた人生があり、殺人に至るまでには様々な経緯や思いがあって、殺人犯にも家族や多くの友人、隣人がいて、報道なんかでは全く伝えきれないそれぞれの思いが交錯しているという事を考えさせられる。
だから凶悪な事件が起きて、それを面白おかしく報道されるのを見ると、私も興味はあるから見ちゃうし、それだけを見て、偉そうに意見したりしてしまう事もあるけど、でもきっと彼ら側から見た真実はどこにもないんだろうなーって思う。
だから、最近はそういった報道を見ても、容疑者側に同情してしまう気持ちがどこかに生まれるようになったかな?
この小説の主人公は、確かに一人の女性を殺めてしまうけれど、とても優しくて、自己犠牲の精神に富んだ素敵な人間でした。だからこそ自ら悪人になることで、多くも大切な人を守る。かっこいいなって思いました。
博多、長崎、佐賀と跨ぐ、九州の情景が浮かんでくるし、博多弁も良かったぁ。

「あの日にかえりたい」乾ルカ著
乾ルカさんは主にファンタジー的な小説を書く作家さんだと聞いて、先月読んだのは異例の青春小説だったらしく、彼女の真骨頂はファンタジーにあるかな?と思い、もう何冊か読んでみようかな?と借りた一冊。
でも、短編集だった、、、長編好きの私にはやっぱり短編集はちょっと物たりさながある。せめて短編連作くらいじゃないと(笑)
でも時空を超えた、心温まる話が多く、悪くなかったです。
乾さん自身が北海道出身なのもあって、北海道を舞台にした作品が多く、北海道の美しい景色が浮かんでくるような描写が好きです。

「マスカレード・ホテル」東野圭吾著
うちの旦那さんが東野圭吾さんの俄かファンで、この作品は文庫化されたら買おうと思っていたらしく、買ってきたので読みました。東野圭吾に関しては、私は自分で買ったり借りたりして読もうとはなかなか思わないけど、旦那が買ってくれるので、なんやかんや結構な数の著書を読んでるということになってます。
ま、でもね、私は代表作である「秘密」「手紙」「白夜行」「幻夜」以外はどれもあんま心に響いてはこないかな?って感じ。
これもやっぱりそうだったな、、、。
ここまで引っ張るなら、もうちょっと内部の人間の犯行であって欲しかった(笑)

「漂泊の牙」熊谷達也著
以前読んだ「邂逅の森」が面白かったので、他の著書も読んでみたいと思っていたので、図書館で借りました。
私にとっては「邂逅の森」よりも面白かった!やっぱり熊谷さん、私にとってはツボの作家さんかも??
この作品は、オオカミの専門家の奥さんがオオカミと思しき獣に殺され、、でも日本ではオオカミは絶滅した筈。そこでそのオオカミ先生がその獣の正体を突き詰めようと雪山を探索する冒険サスペンス。
山に生きる男の人はそれだけでも勇ましくステキだけれど、オオカミの生態や、マタギとの関わりとか、山に生きる生物と人間との関係を綿密な取材の下で素晴らしいサスペンス仕立て上げた熊谷さんの力量に感嘆するばかり。
有川浩はほぼ読み終えてしまったので次にハマるは熊谷達也かな?思うくらい、今まで読んだ二作は面白かった。
私は、軽すぎず、重すぎず、と言った塩梅の作品が好きなのかも。

「あしたから出版社」島田潤一郎著
久々に小説以外の本です。30歳を過ぎてから、ひとりで夏葉社という出版社を立ち上げた島田潤一郎さんの著書。一念発起して出版社を立ち上げるきっかけや、ひとつひとつ丁寧に本を創り出していく中での様々なエピソードが綴られている。
私ももう32になって、実務経験もなく、このまま一生無職なのかな?と不安になる時がある。このまま一生専業主婦も悪くはないと思う。けれど、多分どこかで燻っている野心のようなものがあるのだと思う。けれど、かと言って、未だ通院や薬をやめられない身分で、主婦業母親業にプラスして外で銭を稼ぐ自信もなかったりする。
今はまだ自信はないけれど、少しでも外に出て行こうと、幼稚園の役員などやってみて、お金は稼げないけれど、何か社会に貢献できることをやっていきたいと思っていて、実際大変な事も多いけれど、その中で確かに自分自身のスキルアップには繋がってると実感はできている。
私は、まあもしも社会に向けて何かやるならば、やっぱり本や文章に関わることをしたいという思いは常にどこかにある。まだ具体的に何か進められるわけでもないけれど、そんな漠然とした夢を持つ私に、勇気のようなものを与えてくれた本でした。
そして夏葉社が出版した復刊本など、島田さんが拘って創った本を読んでいきたい。
読んでいて思ったのだけど、出版業界の事を思うなら、図書館ばかり行ってないで、たまには本屋さんでちゃんと本を買わないとなーとも思う(笑)

「東京バンドワゴン」小路幸也著
実家にあったので拝借してきて読みました。少し前のドラマになったので、それを見ちゃってたせいで、イメージもそのままに読んでしまいました。やっぱり見てから読むのは得意じゃない。
今時珍しい大家族の心温まる感じは、ステキですね。あと古書店という空間も私がまだあまり立ち入ったことのない空間だけれど(あ、ブックオフは別です(笑))、今度時間ができたら、神保町攻めとかしてみたい。でも私くらいの本の知識じゃ何にもならない気がするけど。もっと本の知識が欲しいなぁと思うけど、これくらいのペースで読んでるんじゃダメだよなとも思う。

「とっぴんぱらりの風太郎」万城目学著
私の好きな作家のひとり、万城目学さん最新刊、、、だと思ってたら7月に最新刊出てましたね。図書館で予約して、結構待って「やっと来たぁ」と思い、子供達を自転車に乗せて意気揚々と図書館まで受け取りに行ってビックリっ!なんだ?これ?辞書ですか??ってくらいの分厚さ。これだけの長編は万城目さん、初めてですよね??
あまりに分厚いハードカバーなので、とても持ち歩いて読む気にはなれず、寝る前に寝転んで読むにも重い、、、という700頁を越える長編。夏休みというバッドタイミングに回って来たけれど、延長できないから何としても2週間以内に読み終えないといけないという重圧の中で頑張りました(笑)
万城目学の700頁越えは、そこらの小説の700頁越えとは違うのですよ。大変なんですよ、読むの!

余談が長くなりましたが、そんなプレッシャーの中で必死になって読んだせいか、思いっきり楽しめなかったなぁーという悔しい思いがあります。
これまでの万城目作品って、現代に歴史とか伝承とか紛れ込ませてくる戦法で面白く学びつつ笑わせてくれるという作風だったわけですが、今回は本格的な時代モノ、、、でも本格的でもないか(笑)
風太郎は名前のままにプー太郎の忍者で、徳川が幕府を開いた後の大坂冬の陣・夏の陣の辺りの時代の京と大阪が舞台。時代の流れから厄介払いされた伊賀忍者達がどう闘うか、己の為か誰かの為か、、、みたいなストーリー。
今回も登場人物達が大変魅力的です。特に私が好きだったのが、南蛮帰りに異色忍者の黒弓。どこかひょうひょうとしてて、生粋の日本人のような生真面目さがないところがステキ。うちの旦那も帰国子女なので、どこかこういうとこあるなぁーなんて思いながら、読んでました。
あとね、豊臣秀頼のキャラクター、どこまで史実に基づいているんだろう?と疑問に思いつつも、愛らしい秀頼像がたまりませんでした。
また万城目学には時代小説を書いて欲しいと思いました。そしてまたこの辺りの時代の勉強もしたいなぁーなんて。

「自分では気づかない、ココロの盲点」池谷裕二著
著者は薬学博士の先生みたいだけど、脳科学系分野の本を沢山執筆されているようで、私は自分の抱えている病気に関して、どうにかこう脳科学や心理学の分野から突破口はないものかと、常日頃考えている為、こちらの本は、専門性が低く、誰にでもわかりやすく、脳の持つ厄介なクセみたいなものを解説してくれていて、読みやすかったです。
うん、でも知識としては知っている内容が多かったように思え、新しい発見はあまりなかったかな?「勉強になりました!」感があまりなかったというか。実際頭ではわかっていても、その脳のくせを客観的の捉え、改善して行くのが難しいので、悶々とする。
そして、つくづく思うのは、私は脳の機能があまりにもネガティブな方向に働き過ぎて、こういう病気に苦しんでいるんだな、と。

「冬の本」発行所 夏葉社
先日読んだ島田潤一郎さんがひとりで立ち上げた夏葉社の本を一目見たくて(どこの書店にでも置いてあるわけではないようで)、船橋の図書館で検索したら、何冊か蔵書があったので借りてみました。
内容もそうなんですが、装丁とかすごく興味があって。
自分の本棚に置いておきたいと思う本を作りたい、という願いが伝わってくる装丁でした。大きさといい、厚さといい、紙の感じとしても絶妙っ。そしてし文庫では新潮文庫しか今は付いてないと言われる、栞紐というのかな?スピンというのかな?あの栞代わりになる紐がちゃんと付いていて、そこもこだわりを感じました。だって経費を抑えたかったら付けられないものだと思うから。でも本を読むものにとっては、ハードカバーの本には是非ともつけて欲しいと思うから。
内容な、多くの著名人や古書店の店主さんなど、本好きな方達が、見開き一頁分で各々の「冬の本」をエピソードとともに綴ったものを集めて一冊の本にした形。短い文章の中に、思いが詰まっていて、面白かったです。新たに読んでみたい本も見つけました。
そして勝手に自分だったら「冬の本」と言われて文章を書くとしたら、どんな本を挙げて、どんな文章を書くかな?とか勝手に妄想したりして(笑)
なかなか難しいけど、冬っぽい作家としては、私は松本清張の悲壮感漂う世界観が冬っぽいな、と連想しましたし、最近では熊谷達也さんのマタギとか東北の狩猟ものは冬の厳しさを感じながら読んだなーとか。
長くなりましたが、夏葉社は今後も応援して行きたいです。

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意外と読めたぞっ、夏休み。
いや、夏休みだから読めたのかも。
二学期入ったら、また忙しくなりそうです。




posted by ひかる at 06:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする