2015年08月07日

読書記録2015年8月分

「私の男」桜庭一樹著
直木賞受賞作ですね。図書館で長い期間待って、やっと読めました。
文庫を借りたので北上次郎氏の解説も読めて、お得感ありました。
内容も、義父と娘の禁断の恋を描いていて、ちょっとグロテスクな場面もあるにはあるけれど、時間軸が現在から過去の順に描かれているので、どんどん二人の関係の謎が解けていくミステリー要素もたっぷりで、楽しませてくれたし、二人の生い立ちなどを細かく紐解くと、二人が結ばれたことに大いに納得できちゃう。
もともとゲームのシナリオとか、ライトノベルの分野でデビューし、活躍してきたらしい桜庭さん。
北上さんの解説によって、近年は素晴らしい文学作品を書いてるそうなので、何冊か読んでみたくなり、早速「赤朽葉家の伝説」を図書館で借りちゃった。

「舞台」西加奈子著
短めの小説だったので、すぐ読めましたが、内容がちょっと私には苦しかった。
と言うのも、主人公の葉太が自分に似すぎてて、痛い部分が似すぎてて、読んでて葉太にイライラしつつ、自分自身にもイライラしちゃうっていう窮地に立たされながらの読書になってしまった。
葉太がかつて太宰の「人間失格」の葉蔵に自分を重ねたように。
でもきっと、誰もがどこか葉太の様な部分を持っていて、その憐れな姿を憐れみながらも、自分自身を省みる機会になっているのかも知れないと思った。
「人間失格」を再読してみたくなりました。

「火花」又吉直樹著
この度、芥川賞を受賞したばかりの二作が掲載されている「文藝春秋」を買っちゃった、ミーハーな私。図書館でも予約していたのですが、物凄い数の人が待っていたので、読めるのはいつになるやらわからずな状況だし、店頭で文藝春秋見つけた時は即買いでした。
純文学はあまり読まない私。歴代の芥川賞受賞作も頭を捻りながら読みがちで。でも火花は大衆受けもする気負わずに楽しめる純文学作品かな?とも思いました。
又吉さんにとっても初めての小説執筆だったようだし、やはり描写な語彙の引き出しの多さは日頃な読書量の賜物ですね。処女作にして、拙さはあまり感じられなかった。
ただやっぱりキャラクター造形の部分で、主人公の徳永はどうしても又吉さんと被る
。又吉さんとして読んでしまう。そこが有名芸人として既に表に顔を出している方の作家デビューだから、損しちゃう部分かも。
次はぜひ芸人以外の世界を描いてほしい。楽しみにしています。

「スクラップ・アンド・ビルド」羽田圭介著
今回の芥川賞受賞二作はいずれもわかりやすくてありがたい。
介護を必要とする祖父と孫息子の関係をテーマにした作品、と言っていいのかな?
介護も育児も少し似たところがあって、本来相手の自立を促す事を考えるなら、手助けしないでじっくり待つことが必要。でも子どもの場合はある程度の年齢を過ぎれば、それでも自分の力で成長する力を兼ね備えているものだけどね、やっぱり過保護は良くないよね(笑)
体も十分には動かせず、全身に痛みを感じながら家族にも疎ましく感じられ、卑屈になって「死にたい」と言う言葉を連発する祖父の姿は、どこか自分と重なってしまい、読んでて疲れちゃったな。
私も不安神経症で、あまり身動きできないようになってしまい、子どもと満足に出掛けられなかったり、家事も思うようにできないとただただ卑屈になってしまう。
でもきっと外からは元気にできるし、できないときとできる時とで、ムラもあったりで、自分でも自立できるように色々画策するんだけど、なかなかうまくいかないしね。家族の前ではそんな弱音を吐いてしまう事もあるよね。

「ふくわらい」西加奈子著
「赤朽葉家の伝説」桜庭一樹著
「ナラタージュ」島本理生著

も読みましたが、編集した感想の記事が消えてしまった( ̄▽ ̄;)
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2015年07月04日

読書記録 2015年7月分

「島はぼくらと」辻村深月著
最近、辻村さんの小説ばっかり読んでるなぁー。
かなり前の日経書評欄でも絶賛されていた覚えがある、辻村さんの書き下ろし長編。
これもそれまでの辻村さんの作風からは考えにくいライトポップなテイストで描かれていて、毒気を抜かれた、爽やかな小説でした。
辻村さんくらい文章が巧い上に洞察力に優れた作家さんが、色んな世界の事を描いてくれると読み応えもあるし、読後感も爽快でありがたいな。
瀬戸内海に浮かぶ小さな島が舞台。
この島は、島に高校がないため、フェリーで通える本土の高校が1校あるばかりで、それ以外の学校に行くには、島を離れて、親と離れて暮らすことになり、この島の子供たちは生まれた瞬間から、親も15歳には巣立っていくという事を覚悟している、、、という現実がある。
人口の少ない離島で暮らすって、そういう覚悟が必要なんだなって、自分は子育てしながらも、そういう親心って考えたこともなかったな。
Iターン就職とかIターン移住とか、島の自治についてとか、興味深いテーマが、島に暮らす高校生たちを中心に脈々と描かれていて、面白かったです。

「サラバ!」(上・下巻) 西加奈子著
直木賞を受賞した話題の作品。ずっと読みたかったけど、図書館で上下セットで借りるのは今の段階では不可能だし、ブックオフにもなくて、、、上巻を母に買ってもらい、下巻は自分で買いました。何気に本を買ったの久しぶり。図書館ばかり行っていて、書店に行ったのが物凄い久々で、でもたまに本屋さんに行ってみると新刊も色々チェックできて面白いし、読みたい本が新たに見つかったりして、でもケチなので結局買ったのは「サラバ!(下)」だけですが(笑)
余談は置いておいて「サラバ!」の感想。イランのテヘラン市での主人公・歩の誕生から始まって、いったん帰国し、今度はエジプト・カイロに転勤になり移住し、、、という壮大な話だと、受賞直後は報道されていたけど、私にとっては、あくまでも身近な家族の話、という感想を持ちました。
西さん自身テヘラン市で生まれているという経歴から、ラストを読んでいくと、西さん自身の自叙伝的小説なのー???という疑問を持ちながら、読み終えました。
歩の姉の貴子との関係とか、我が家の子供達2人に重なるところもあったり、歩にも貴子にも共感できるところがたくさんあったし、舞台は中東とかアフリカとかに飛んだり、宗教とかも絡んできて劇的な展開も多々あるけれど、そこには多くの人が抱える身近な問題を内包しつつ、常に温かい視点で描かれているところが、西さんらしくて好きでした。
折角買ったので、何度か読み返したいな。
私、あまり再読ってしないので、たまにはしないとね。
読むたびに感想って変わるだろうし、発見もたくさんありそう。

「透明カメレオン」道尾秀介著
道尾さんの作品は初めて読みました。すごい偉大な作家さんらしく、以前から気になってたんだけど。
けどけど、ここのところ、あまりガッカリって作品には出会ってなかったせいか、久々のガッカリ感(汗)
時折、読んでてイライラしちゃう自分がいたり、途中で読むのやめようかな?とか思っちゃう感じだった。そういうことってあんまりないんだけどね〜。マンガっぽすぎて、私的にはダメでした。
これが多分最新刊だとおもうんだけど、山本周五郎賞とか直木賞受賞作を攻めた方が良かったかも。

「光圀伝」冲方丁著
最近、本屋さんに行くと角川文庫の新刊としてか上下巻になった文庫本が平積みされてて、「天地明察」が凄く面白かったし、冲方丁の書いた時代小説なら読まないと〜って思って、そこでは買わずに図書館で単行本の方を予約。図書館に取りに行って、ちょっと後悔(笑)だってだって、辞書みたいに分厚いんだもん。万城目学の「とっぴんぱらりの風太郎」以来の衝撃(笑)まあでも、今回は予約が詰まっている本ではなかたので、そこまでのプレッシャーはなかったけど。
751頁に渡る大作。なかなか苦戦したけど、色々と学びの多い作品でした。儒家である林羅山の息子と光圀との交流の場面など、儒教云々のくだり、私の勉強不足で難しい箇所もあるけれど、徳川幕府配下の太平の世となった時代を生きた光圀の苦難に満ちつつも一本気な生き方が、とても魅力的に描かれていました。
こういう本を読みたくなるのは、やっぱり私が歴史好きだからかな?と思う。歴史好きじゃなかったら、この長編、なかなか厳しい??そんな事ないかな??

「赤い指」東野圭吾著
超大作を読み終えた後は、やっぱり軽めにいきたかったので、家にあった東野さんを。
すごい気楽に楽しめて、すぐに読めました。
単純明快なミステリーだけど、重めの本を読んだ後だったから、単純に楽しめるエンタメ作品は、ありがたかったです。

「きいろいゾウ」西加奈子著
最近ハマってる西さんの著書、デビューから三作目にあたる作品。映画化もされてるのかな?
今はとにかく西さんの作品をどんどん読みたくて図書館で色々予約中。
肉子ちゃんもそうだったけど、前半は淡々とほんわかとした日常が描かれ、後半から一気に話が展開していく感じ。独特のゆったりと時間が流れる様な世界に浸ってしまうせいか、何故か読むスピードもゆっくりにさせられるから、不思議。
西さんの描く人って、みんな温かくて癒されます。
最近、めっきり都会の喧騒と人の多さに辟易しているせいか、舞台となっている田舎の風景に浸らせてもらいました。
登校拒否児の大地くんって9才の至極大人びた少年が出てくるのだけど、私も幼い頃から幼稚園とか学校とか、ずっと行きたくない子だったせいか、彼が言ってる事につよく共感してしまった。かと言って私には完璧に登校拒否する勇気も、なかった、更なる臆病者なのだけどね(笑)







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2015年06月03日

読書記録2015年6月分

「ハケンアニメ!」辻村深月著
超超超超超面白かったぁーーーー!!!!
久々に衝撃が走った(笑)
だって、あの辻村深月が?この小説書いたの??マジですか??ってくらいこれまでの作品からのイメージとは程遠いぞぉーっていうライトな作品。
でも書く力は絶大だから、ものすごくハマりました。ハードカバーの400ページ超えでしたが、まさに一気読みでした。
そのクールで一番の人気を勝ち得る「覇権アニメ」を目指して奮闘するアニメ業界の人々を、まさにアニメを見ているような臨場感で描き抜いた作品でした。
有川浩の大ファンですが、有川作品を読んでるんじゃないか、と思わせるようなライトノベルタッチの作風に、度肝を抜かれました。
辻村さんというとブラックなホラー的なイメージが強すぎて、こんな作風ないわーって勝手に思い込んでたけど、見事に殻を破ってくれましたね!
ライトノベルタッチなのに、文章が上手いからどんどん世界に引き込まれていくんですよ。
そして人の描き方がどれも素敵で、今人間関係、仕事関係に悩んでる方に是非読んでほしい。私の周りにもこういう人いるぅー、って思う人物がいっぱい出てきて、ではそういう人たちとうまくやっていくにはどうしたらいいだろう?ってヒントがたくさん盛り込まれている。
少なくとも私は今ちょっと人間関係悩んでいて、かと言ってその世界や人から逃げ出せる状況にもなくて、自分がどうその中で立ち回ったらいいのかな?って考えながら、この小説を読んでいました。
自分の良くないところが似てる登場人物がいたし、自分が苦手な人に似ている人物も出てきて、キャラ達がそんな中で奮闘しながら頑張ってアニメを作っていく様に励まされました。
図書館で借りちゃったけど、これは我が家の本棚にいらっしゃーい!な作品ですね。

「盲目的な恋と友情」辻村深月著
「ハケンアニメ!」を読むまで、そこまで好きってわけではなかった辻村さんの作品ですが、改めて彼女の作品、特に近年の作品は作風も大きく変わっているのではないか、と期待して、早速図書館で借りたのが、書下ろし長編のこの作品。
これは、辻村さんの独特のブラックワールドもしっかり引き継ぎつつ、けれど、やっぱり「巧いっ!」って唸らされる作品でした。
育ってきた環境の中で、自分の容姿にも自信を持てず、劣等感の塊のくせに、それを全部他人のせいにしてしまえる、どこまでも歪んだ女性の描き方が何とも絶妙!「こういうやついるぅーー」って言いたくなる。
暗い部分の多い作品だけど、そこでもしっかり読ませる辻村さんの書く力に脱帽。

「御松茸騒動」朝井まかて著
相変わらずハマってる朝井さんの時代小説。今出版されてる中では最新刊かな?
江戸時代の足軽の身分であった下級武士が、御松茸同心に任ぜられ、当時も献上品として価値のあった松茸を如何にしても毎年安定した収穫高を確保できるかという難問に挑む話。
江戸時代の、そして植物系の朝井さんの得意分野で、私の知らない世界が繰り広げられてて、題材自体もすごく興味をそそるものであったし、松茸を通じて人間としても大きく成長していく主人公の姿も素敵でした。

「ぬけまいる」朝井まかて著
これで今刊行されている朝井さんの作品は読破できた形になります。でも新刊情報に疎いので、また出してたりして(笑)
訳ありで伊勢詣でに抜け参る女三人の珍道中を描いた作品。
時代物で、女バージョンの「三匹のおっさん」っぽい話でした。朝井さんの著書としては、軽すぎて、私的には読み応えなかったなーって思わざるをなかった。

「漁港の肉子ちゃん」西加奈子著
今話題の直木賞作家、西さんの作品、初めて読みました。
アメトーークの「読書芸人」でも又吉さんオススメの本として紹介されていましたね。
前半は物凄く淡々と描かれて、これといって何か物語としての展開も少ない。うー、これどういう話??と思いながら読み進んでいくうち、後半も後半でどどーーーっと来ます!
これはあまりネタばれ的な事書きたくないな。
是非読んで下さい。
肉子ちゃんのキャラが最高です。肉子ちゃんの会話部分大好きです。
石巻の漁港をモデルにした架空の漁港の、心温まる作品でした。

「家族シアター」辻村深月著
今月は辻村深月に魅せられたひと月でした。
長編かな?と思って借りたら短編集で、ちょっと残念。
家族にまつわる短編集。
家族っていがみ合ってても、強い絆で結ばれてるという話の連続。何編か読んでる間、ちょっとずつオチが見えちゃう感じが残念でした。読者を裏切るような要素があったら、もうちょっと楽しめたかも?かと言って、ブラックなのあまり好きではないしね、要するに辻村さんのという偉大な作家さんに求めるものが大きくなっちゃった今日この頃という感じですかね?(笑)





posted by ひかる at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする