2015年05月11日

読書記録 2015年4月分

だいぶ読書ペースが落ちています 汗

「天地明察」冲方丁著
江戸時代前期の元禄文化とのちに呼ばれる文化が栄えた時代に、天文学や暦学を学び、新しい暦である貞享暦を作った安井算哲(渋川春海)の物語。
同じ時代に和算で注目を集めた関孝和との絡みとか、この時代に天文学を学ぶにあたって、そしてそれを暦学へと繋げていくのにどれだけの苦労があったか、そこに介在する政治家たちの思惑など、絡み合いながら新しい暦を築き上げる、学問に対する真摯な姿勢と共に、暦を変えるための策士としての側面を覗かせる春海、、、そして幾度となくどん底に突き落とされそうになる失敗や不運に見舞われる姿が、何とも人間らしくて、読んでいてワクワクドキドキハラハラさせられました。
江戸時代の文化を築き上げてきた人達の話って、本当に魅力的です。
なかなかの傑作でした!!

「天使のナイフ」薬丸岳著
WOWOWで小出恵介さん主演でドラマ化されて、うちの母が「なかなか面白かった」と言うので、ドラマ見る前に原作を読みたくて、図書館で借りました。
少年法の在り方にメスを入れた作品。
少年法って誰のための法律だろう?あくまで加害者側の立場に立っての法律なのでは?という問題提起をしてくれています。
少年犯罪に焦点を当てた小説って多いけど、このミステリーはなかなか深いものがあるなぁーと思ってしまいました。複雑な人間模様の中で、最後にお前が絡んでたのかぁ〜というどんでん返しもあったり、最後まで目が離せない展開でした。

小説を読んでから、ドラマを見ましたが、結構忠実に映像化されていて、二度目の鑑賞って気がしました。けど、映像で見ると、うーーん、ひとりの女性が生涯でそれも20歳までの短い人生の中で、少年犯罪の目撃者→加害者→被害者になるかなー?って、冷静に見ちゃうと現実味ないかも??なんて冷めた目線になってしまったのは否めなかった。

「先生のお庭番」朝井まかて著
もう劇的にはまっている朝井さんの作品。
これも江戸時代の話。最近、私の中で江戸時代の歴史小説が熱い(笑)
この作品は、シーボルト事件で有名なドイツ人医師でオランダ商館医であったシーボルトの話。しぼると先生の薬草園を管理する園丁として仕えた熊吉の目線で描かれるシーボルト像がとてもステキです。
日本の植物の美しさを西洋に伝えようと奮闘するシーボルトと熊吉。でもなかなかうまくいかず、、、そして長崎の花町出身の奥方のお滝さんを「オタクサ」と呼び、シーボルト事件によって国外追放となったのち、日本原産のアジサイに「オタクサ」という学名をつけたという心温まる後日談があったり。西洋人らしいロマンチックなことしてくれるぜ!シーボルト先生!
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2015年04月05日

読書記録 2015年3月分

「ありふれた祈り」ウィリアム・ケント・クルーガー著
随分前に日経の書評欄で絶賛されていたので、図書館の予約リストに入れていて、珍しく海外ミステリーなんぞ読んでみました。これも慣れなのかもしれませんが、翻訳もの。。。うまく読めず。物語が展開していく後半に差し掛かるまで、何とも苦しい時間が続きました(笑)
読み終えても、北上次郎氏が絶賛する理由がつかめないままでした。
アメリカ社会が抱える問題とか、文化とか、なかなかうまくつかめていないからなのかな??その地域ごとに抱える問題もあるしね。
今回舞台になったミネソタ州の田舎町の情景は、幼い頃に読んだ「大草原の小さな家」を思い出させる牧歌的なもので、危険と言われながらも子供が自由に遊べる自然いっぱいの感じが、コンクリートジャングルに住み着いてしまった私には憧れてしまうなー。
こんな感想しか書けない自分が情けないけど、それくらいうまく入っていけなかった。


なんとこの月はこの一冊だけしか読めず〜。
2月後半くらいから、鬱状態に陥り、久々に読書すらできない毎日を送っており、今回はかなりのビッグウェーブに巻き込まれてしまい、未だ這い上がれず、春休みは引きこもりです。
学年末は子供達の送り迎えすら必死で行い、卒園の役員のお仕事も何とか病気の身体に鞭打って頑張り、その間にも娘は大事な時期に喘息発作出すし、卒園式もチアダンスの発表会も出られるのか怪しく、でも卒園式もダンスの発表会も無事に終えたところで、どっちも涙なみだでした。卒園式と発表会とが続けてだったので、二つのビッグイベントを終えた翌日はクタクタで目も開いてない状態で、息子を幼稚園に送り出したものです。
3月中旬は何とか頑張って行事のひとつひとつをこなしましたが、終わったら見事に風邪をひき、声がスリムクラブみたいになりました。喉をやられて、私自身の喘息の状態も悪くなってしまい、心身ともに疲れがでたまま。春休みに予定していたスキーの予定もキャンセルしてしまいました。
この状況、いつ脱せるのか、もうすぐ新学期も始まるし、娘は小学校だし、環境の変化の大きい季節。頑張らざるを得ない機会を子供達から頂いて、また頑張れる日々が来るのかもしれません。

けど、今また少し活字が読めるようになってきたので良い傾向かな?と思っています。久々に読み始めたのが、冲方丁さんの「天地明察」メッチャ面白いです!まだ読み途中なので、来月の読書記録に書けたらと思っています。


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2015年02月24日

読書記録2015年2月分

「王妃の帰還」柚木麻子著
前から気になっていた作家さんでした。タイトルが素敵だったので図書館で借りました。今年の本屋大賞にノミネートされてる作品も予約してみたけど、かなり待ちそうだったので。
ミッション系の女子中学におけるスクールカーストならぬアンファン・レジームの崩壊から始まり、地味なオタクグループによる革命の物語(笑)
フランス文学専攻しておられた柚木さんらしい表現がたくさん出てきて面白かったです。スクールカーストなんて今ではこわい名称がついちゃってるけど、いつの時代もこういうのってあったなーと思うし、きっとなくならないと思う。でも誰にでも立ち上がることはできるよね?って思う。特に若いうちは。
青春小説だけど、どこか異質なものであり、ユーモア溢れる温かみのある文章が好きでした。

「明日の子供たち」有川浩著
やっと読めました。昨年に出た有川浩の単行本書き下ろし。
今では珍しいらしい大所帯の児童養護施設のお話。施設で生活している子供たちと、そこで奮闘する職員の先生たちの奮闘記ともいうべきでしょうか?有川さんらしい目線で児童養護施設や児童福祉の抱える問題点を提起しつつも、そこに生きる人達が誰もが懸命で魅力的。
こういう社会問題をあくまでも軽快なタッチで綴れるのはさすが有川浩という感じ。ラブコメ要素もしっかり入れてくれて、自衛隊もやっぱり絡めてくれて、今後の話もラブコメ今昔的に期待できる、、、てか、有川さん!続きのあの二人とあの二人をしっかり追いかけて書いてください!!お願いします!と声を大にして言いたいです。
自衛隊ものに引き続き、このシリーズも期待しちゃうな〜(笑)

「オレたちバブル入行組」池井戸潤著
かの有名な半沢直樹シリーズの一作目。この前に読んだ有川さんの小説にも、施設で生活する久志という男の子が「半沢直樹」ならぬ「ハヤブサタロウ」シリーズにハマっている設定でした。
ドラマの「半沢直樹」がヒットし過ぎて、池井戸潤作品もどんどんドラマ化され、一大センセーショナルを巻き起こしていた最中はすっかり本を読む気も無くしちゃって、ドラマに没頭していましたが、直木賞をとった頃に読んだ「下町ロケット」のスピーディーで、経済や法律など知的要素を大いに取り入れつつも、あくまでもエンターテイメント小説として、読者に提供してくれる作風がたまりませんでした。
今回読んだこの作品はドラマでばっちり見ちゃった内容でしたが、それでもあのスピーディーな展開は読んでて爽快過ぎました。
ドラマを見ていなかった旦那がブックオフで買って今更ながらハマり、続編の続編の続編まで書店購入してきたので、今後の半沢直樹の活躍をしばらくは楽しめそう。

「小暮写真館(上・下)」宮部みゆき著
宮部みゆきさんと言うと、私は高校時代から読み親しんだ現代ミステリーが大好きで、比較的最近では「名もなき毒」を読んだけれど、この作品はミステリーとか犯罪の要素が少なく、心温まる小ネタ満載なエンターテイメント長編という感じで、これまで私勝手に描いてきた宮部みゆきの作風から大きく外れているところにある作品でありながら、やっぱり書く力がある作家さんというのはどんなジャンルも書きこなすんだなーと、ため息ものでした。
この本は単行本の書き下ろしとして出版された際は700頁超えだったものが、文庫化の際に上下巻に分かれたようですが、文庫にして800頁は超えていたと思うのですが、決して読むのが早くないわたくしですが、だーーっと読めました。面白かった!!
主人公は高校生の花菱英一という人物なのだけど、この花菱家がね、私は大好きです。特に父ちゃん。てか家族全員、長男の英一君を学校でのあだ名に合わせて「花ちゃん」って呼ぶんですよ。おかしいでしょ??君も君も君も花ちゃんでしょ??ってな、どこか風変わりだけど、
あたたかい家族像がこのワンエピソードに集約されている気がして、この家族がたまらなく好きになりました。
でも一見おとぼけで、のほほんとした家族も大きな傷を抱えていて、それでも傷ついてる人には優しくしてあげられる優しさは忘れない。
高校生の目線で描かれてるので、ツッコミとかギャグとか結構笑わせてくれる崩れた文調も、作品全体に暖かな光を照らしているようで、全体がひだまりのような作品でした。
巻末の解説を読むと、宮部さんは他にもこういったノーマルなエンターテイメントも書いているみたいなので、また改めて読んでみたいなーと思いました。とにかく著書がメチャクチャ多い日本を代表する大作家先生ですから。
ちなみに、この文庫本上下巻は、船橋近辺でNPOが運営している民間図書館で借りてみました。
ここでボランティアとかやってみたいなーと考えているのですが、まだなかなか踏ん切りがつかないでいる。けどとりあえず本の寄贈とか普通に利用してみたいと考えています。

「悟浄出立」万城目学著
私も好きな作家のひとり、万城目学さんの最新刊(だったと思う)を図書館で予約して、ようやく手元に回ってきました。直木賞の候補にもなったのですね。
中国の古典である「西遊記」の沙悟浄や「三国志」の趙雲、「項羽と劉邦」の虞美人、司馬遷の末娘など、歴史の脇役達にスポットを当てて、描かれた短編集。短編集ってもともとあまり好きではないけれど、この本に収録されている短編はひとつひとつに短いながらも読み応えがあって、もともと中国の歴史にもそれほど詳しいわけでもないけれど、そんな無学な私にもちゃんと読める内容になっていて、けれどやっぱりきちんと中国の歴史小説を読み直したいと思わせてくれるものばかりでした。知識を持った上で読むとまた違った味わいがあるのだろうな。
万城目学さんにも、今後中国の歴史を題材にした長編小説を書いて欲しいと願わざるを作品でした。

「もしもし、還る。」白河三兎著
こちらも私が好きな作家のひとり、白河三兎さんの作品。
白河さんの作品は、SFっぽさもありながら、ミステリー要素も十分に楽しめるばかりか、独特の幻想的な世界観がステキ。幻想的な作風というと、私は小川洋子さんの描く世界観が幻想的で大好きでした。小川さんが純文学界における幻想的な世界観を持つ作家なら、白河三兎さんはエンターテイメント小説界における幻想的な世界を描く作家だと、私は勝手に位置づけています。
デビュー作からチェックしているつもりだったけど、この著書以外にも更に二作も文庫化されているようなので、読まないとだわ。
この作品ですが、主人公であるシロの心の闇が、どこか自分と共通する何かを感じ取れて、時々息苦しく感じるところもありました。家族のあり方とか、家族愛とは何か?という難問を投げかけているようなところもあるのかな?
激しくSFの場面と、過去の現実世界との話を交互に描くカットバック形式は白河作品の得意とするところ。
まあでもなかなかデビュー作の衝撃のラストに勝る作品には到達されないなー。ファンとしては欲張りですが、あの衝撃に勝る作品を期待してしまう。

「阿蘭陀西鶴」朝井まかて著
最近大好きな歴史小説作家、朝井まかてさんの新刊がやっと図書館で借りられました。綺麗な本だな〜と思ったら、船橋市が今月に買ったばかりの本だったみたいで、ちょっと感激。予約多いから蔵書増やしたな(笑)
前作の直木賞受賞作「恋歌」ほどの激動さはなかったけれど、誰もが日本史の授業で習う元禄文化の立役者として名を馳せた井原西鶴の俳諧人から草紙作家として活躍する姿を、盲目の娘あおいの視点から描かれた小説。
日本史の授業で名前と代表作だけ覚えてはいるけれど、西鶴の生き様なんぞ何も知らなかった私は、やっぱり歴史の中の人物に、息を吹きかけてくれる作家さんを有難いと思う。
「好色一代男」を書くくらいだから(もちろん現代語訳も読んだことないけど、その大まかな内容は知識としてあるよね?)、その人生や人格は破天荒なところも多く、娘あおいも俳諧を盛大に吟じていた頃は、うとましく感じることの方が圧倒的に多かったのに、彼女も成長する中で父の苦悩や苦労、大きな決意などを知る中で、いつの間にか父への思慕の気持ちが高まっていく様が、盲目のあおいが作る自慢の料理とともに描かれていく。
西鶴は自らの創作活動を「阿蘭陀流や!」と銘打って、どんなに非難されようと、批判されようと、折れない心の持ち主のように描かれながらも、後半は年かさも重ね、どうにもこうにも書けなくなる苦悩の時期など、人間らしい西鶴の一面もどこかホッとするし、娘あおいの優しい視線が、もの見えぬあおいだけに、心から温かく父の辛い時期も共にする姿が美しい。
私はこの話は父と娘の愛の話のように読ませてもらいました。
これからも朝井まかてさんには、多くの歴史上の人物を小説の中で蘇られせてくれたらなーと、歴史好きとしては期待してしまう。



posted by ひかる at 12:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする